BOOTH for Startupsは、スタートアップが投資家との間で締結する投資契約書(株式引受契約書、株主間契約書及び発行要項)を、スタートアップが簡易にレビューするためのチェックリストを作成し、公開しました。
チェックリストは下記URLよりご利用いただけます。
投資家との交渉の際、最初に用いるツールとしてお役立てください。
BOOTH for Startups 投資契約書簡易レビュー用チェックリストページ
回答後、ご自身の回答結果をDLまたは印刷していただけます。
「投資契約書」について
広義の「投資契約書」とは、エクイティ・ファイナンスの実施に際し、投資を受けるスタートアップと投資する投資家との間で、またはそれに創業者をも加えて締結される契約をいいます。
「投資契約書」には、主に投資の条件についてのスタートアップ・投資家間の合意や、投資後のスタートアップ・投資家・創業者間の合意などが定められます。
タイトルや体裁には実務上ばらつきが見られます。
シンプルに「投資契約書」一通にまとまっているものもあれば、「株式引受契約書」・「株主間契約書」・「発行要項」に分かれている詳細なものもあります。
現状の問題点
日常業務として日々投資契約を締結している投資家側とは異なり、スタートアップが投資契約を締結する回数は限られ、その情報量と知識量には圧倒的な不均衡があります。
この傾向は特に初めてスタートアップが投資家と投資契約を結ぶというシチュエーションでは顕著です。
そのため、投資契約書の内容についてよく理解しないまま、あるいは投資家との交渉を経ないまま、投資契約を締結してしまうというケースが散見されます。
しかし、我が国の投資契約はそれほどスタートアップ・フレンドリーなものではありません。
- (1)一定の場合に投資家がスタートアップまたは創業者にその保有株式を買い取らせることができる「買取請求権」
- (2)他の投資家とより有利な投資契約を結んだ場合にはこの投資契約もその有利な内容に自動的に変更されるという「最恵待遇」
といった強力な効果を持つ条項が存在し、その発動要件が不明確な場合も多いのが実情です。
これらの点については既に経済産業省からも指摘(註1)がなされています。
註1:経済産業省『我が国における健全なベンチャー投資に係る契約の主たる留意事項』令和4年3月改訂、第2頁、第53頁他
本チェックリストの狙い=投資契約の民主化
本チェックリストは、スタートアップ側に投資契約書について確認すべきポイントと相場観をわずかながらも提供することで、この知識と情報の不均衡を是正し、投資契約の民主化を目指すものです。
本チェックリストがカバーする内容は専門家によるレビューの範囲に比べごく狭いものにとどまります。
もっとも、これらの条項をある程度確認できれば、その投資契約書がスタートアップに厳しめのものなのか、フレンドリーなものなのかという全体的な傾向を掴むことは可能となるでしょう。
今後各チェックポイントについて随時当サイトなどで解説をしていく予定です。
ぜひ、多くのスタートアップにご活用いただければと思います。
BOOTH for Startupsは、「スタートアップを当たり前の選択肢に」することを目指し、今後も努力を続けて参ります。